ヤーコンの
ヤーコンを育てよう
苗(地下茎の芽)の保管方法
基本
地下茎の芽は株の下方につく芋の収穫終了時期に掘り出すため、株の土台自体が腐敗しはじまっているところから切除します。そのため、芽の付け根部分はカビや腐敗が進みやすいです(これは自然なものです)。
苗(芽)は届いたらすぐにビニール袋から出し、できるだけ早く(2、3日のうちに)畑、またはポットに植えるのが望ましいです。
植付までそれ以上の日数がある場合
底がメッシュ状になった育苗箱にゴロゴロと芽を入れ、平らに敷き置き、軽く覆土して植付まで保管します。深植えが過ぎると芽が過湿で痛みます。
氷点下7℃までは屋外地植えで一時保存できますが、霜痛みで発芽は遅れます。
それ以上の寒冷地、積雪が深い場合はプランターに市販の培土で埋め、室内管理。表土が乾いたら適度に潅水します。
植付の方法
ポット育苗の場合
ポット育苗は潅水管理が楽なので、育てる株数が多い方、畑が遠い方に良い方法です。
気温をみて置き場所を変えたり、発芽前のねずみの食害も防ぐことができます。当農園もこの方法です。
- ポット育苗の開始時期は3~4月。基本は芽が届いたら速やかに。日数がある場合は前述の方法で芽を保存します。
- 育苗ポットの底に赤玉土を1cm、培養土を2cm、その上に芽(赤く尖った部分)を上にして置き、芽の頭が2~3cm隠れる程度に培養土をかけ、手でよく鎮圧、潅水します。
培土は市販の種まきの土が簡単便利ですが、自作する場合は下段のレシピをご参考ください。
- その後は表土が乾いたら灌水します。
翌朝が氷点下になる日は潅水を控え、できれば室内に移動させます。
畝への移植
- 5~6月になると発芽。
- 4本葉が出たらポットの土ごと畝に移植し、しっかり潅水します。
- 株間は直植えの場合と同じ60cmです。
複数出ている芽のもとのうち、寒さで痛んで再発芽を準備するものなど、発芽には個体差があります。週1回程度様子をみて、葉が出揃ったものから順に移植していきます。
生育が悪い時の対処法
葉に元気がない
- 【原因】
- 水切れ、根張りが悪い
- 【対策】
- 真夏に降雨が無い期間は頑張って潅水します。葉が縮れても潅水すると回復します。
前作の結果をみて植え場所の選定、土づくりを参考に次年に活かします。
根張りを良くする土づくりは下段をご参照ください。
発芽しない、発芽後に株が消える
- 【原因】
- ねずみによる食害
- 【対策】
- 直植え+ねずみ避けの仕掛けをするか、ポット育苗の後移植するのがおすすめです。
また、寒さで芽が地中で痛み、発芽しない場合もあります。
ヤーコンの芽は傷みやすく、いたしかたない部分もあります。あらかじめ予備分の株数を用意して育苗開始するのがおすすめです。
培養土を自作してみよう
市販の培養土を使用するのが簡単便利ではありますが、それらはおよそ化学肥料が含まれています。
- 表は素材と配合比率、500mlの手桶20杯で10Lの用土を作成する場合の想定杯数です。
- 最終的に育てる場所(地植え、プランター、鉢)の用土を作る場合、更に完熟堆肥を加えます。
- 短期間のポット育苗の用土を作る場合は堆肥は加えず、ごく少量の石灰、または草木灰を加えます。
- 培養土の配合比率は必ずしも正解は無く、お客様ごとご栽培環境に合わせてアレンジしてみてください。
下記は有機栽培、自然栽培など化学肥料を使用せず植物を育てる場合の培養土の自作レシピです。
素材 | 比率 | 手桶杯数 |
---|---|---|
赤玉土(小粒) | 3 | 7 |
ピートモス | 3 | 7 |
バーミキュライト | 2 | 4 |
パーライト | 0.5 | 0.5 |
黒土 | 1.5 | 1.5 |
計 | 10 | 10 |
根張りを良くする土づくり
ポイント
植物は葉や茎など地上部の大きさとほぼ同じくらい地下に根を張っているものです。
この地下の「根張り」を良くすることではじめて、地上部が元気に茂ることができます。
Q:根張りをよくする土づくりとは?
- 物理的に団粒(土の粒)を整える
- カリウム分の含有量を増やす
基本はこの2つです。
土づくりに役立つ自然素材
草木灰やもみ殻くん炭(籾殻燻炭)を土にすき込むことで、土に有機物とカリウム分の両方をバランス良く与えることができます。
草やもみ殻に燃え残る有機物は地中の微生物を増やし、土の粒「団粒」の状態を良いものへと変えてくれます。いわゆる、ふかふかで肥えた土です。
また、植物の欲する3大栄養素(チッソ、リン酸、カリウム)の3つ目、カリウム分は主に根に効く栄養素で、根張りを助けるとともに、株元のカビなど土壌病害の予防にも役立ってくれます。これは燃えた灰が含んでいるものです。
有機栽培、自然栽培など化学肥料を使用せず植物や野菜を育てる場合には、特に「草木灰」「もみ殻くん炭」の活用が簡単、便利です。
草木灰の作り方
お庭や畑で出る、除草した草。育てた野菜や草花の残渣。これらを活かして簡単に土づくりができます。
ただ、火を使う仕事なので、安全確保はあくまで自己責任でお願い致します。
作成の前に
- 天気予報をよく見て、風のない日を選びます。
- 万一火の付いた草が風で飛んでも延焼しないよう、周囲に可燃物が無いことを確認します。周囲の片付け、事前の散水など万全にご準備ください。
作業手順
- 畑やお庭に深さ30cm程度の穴を掘ります。
- 着火用の紙などを底に。その上に雑草や野菜の残渣をのせ、着火します。
- 草は一度にたくさん載せず、燃え進みをみて上から追加投入します。
- ゆっくりじっくり燃やし、出来た灰が草木灰です。
- 使い方は下段のもみ殻くん炭と同じく、植物を育てる場所の土にすき込みます。
もみ殻くん炭の作り方
もみ殻くん炭は農家自作のものが田舎の道の駅に置いてあったり、少々お値段はしますがホームセンターや通販でも買うことができます。
米農家からもみ殻を入手できる。くん炭を作成する場所(畑、広いお庭)がある。という方はご自身で作成することもできます。
安価に、片手間に、大量に、この素晴らしい素材を使うことができるのは大きな魅力です。
火を使う仕事なので、安全確保はあくまで自己責任でお願い致します。
作成の前に
- くん炭作成はもみ殻2袋投入で12~20時間かかりますので、作成から翌日までの天気予報に注意します。強風、降雨予報があるタイミングは避けます。
- 万一火の付いたもみ殻が飛散した場合でも延焼しないよう、周囲に可燃物が無いことを確認します。周囲の片付け、事前の散水など万全にご準備ください。
作業手順
- ブロックなどで囲いを作り、風でもみ殻が飛散しないようにする。ドラム缶を切って作る方も多いです。
- スムーズに作業が進むよう、全ての素材を近くに準備しておきます。
用意するもの(くん炭器、新聞紙、ダンボール、木の枝)
枝はくん炭器の煙突の穴から投入できるよう、切って大きさを整えておきます。 - 新聞紙を丸め、ダンボールを割いて積んで小さい山を作り、着火。くん炭器を被せる。
- 煙突の穴から素早く木の枝を投入する(やけどに十分注意)
- くん炭器を包むように、上からドサーっともみ殻をかぶせる。正面から見て三角形の山になる感じです。
- 火の具合をみながらそのまま放置。翌日には完成しています。余裕がある方は火が燃えている間、もみ殻を混ぜてあげてください。火の通りが均等な良いくん炭ができます。
- 畑に溝を掘り、出来たくん炭をバケツ等で運び、投入、埋め戻し。後日管理機などで耕耘してあげると、くん炭を広く土に混ぜ込み、なじませることができます。
ヤーコンの楽しみ方
ヤーコン茶とは
ヤーコンは芋を芋を食べるだけでなく、夏に茂る葉をお茶にして楽しむことができます。とても栄養価が高く、健康維持に役立つと言われています。
ヤーコン茶の栄養
- カリウム→高血圧予防
- 苦味成分であるクロロゲン酸→抗酸化作用
- フラクトオリゴ糖、食物繊維→整腸作用
ヤーコン茶の栄養:レシピ
- 葉と付け根の茎を摘む
- 水洗いの後し、カラカラになるまで陰干しする(2~3日)
- ハサミで小さく刻む
- 乾燥が甘い場合は電子レンジで1~2分加熱し水分を飛ばす
- ポットに葉茎をひとつまみ入れ、熱湯100mlを注ぐ。少しおいて頂きます。
(コツ)葉だけでは苦いので、茎を一緒に入れるとまろやかな味になります。
ヤーコンで草木染め
はじめに
ヤーコンは食べて美味しいだけでなく、その葉で草木染めを楽しむことができます。出る色は「緑がかった茶~深いこげ茶」です。
染料として使うのに最も適した時期は一番生育の良い盛夏です。
ヤーコン染めレシピ
ごく簡単に書いています。詳しくは染色家の方の記事をご検索ください。
- 染める物の3~10倍の重さのヤーコンの葉を用意し、大きな鍋に入れ、水を染料ひたひたまで入れ、火にかけます。
- 沸騰したら弱火にし、ふつふつと20分煮込みます。葉をざる等で濾して染液の完成です。水を替えて再度染料を煮込み2番液をとり、後から混合するとより濃い染液ができます。
- 染液だけを鍋に戻し、染める物を入れ、繊維の中に色素がよく入るよう泳がせながらまた20分煮込みます。
- 染める物を鍋から上げて水けを絞り、別の容器に用意した媒染液(みょうばんを溶いたものなど、詳しくはご検索ください)の中で20分ほど泳がせます。
- 色の出具合をみて、より濃く染めたい場合はまた染液で煮込むところから繰り返します。軽く水洗いし、干して完成です。