自然薯の
自然薯を育てよう
種芋の保管方法
「切り種芋」の場合
切り種芋は親芋をカットした種芋です。自然薯栽培セットの種芋もこれです。
乾燥しないよう少し湿らせたノコ屑にまぶして発送しています。
- 種芋が到着したらできるだけ速やかに定植します。1週間程度であればそのまま涼しい場所に置いて保存できます。
- 定植までそれ以上日数がある場合は底がメッシュ状になった育苗箱の中に川砂を敷き、芋を並べ、また川砂で覆土。箱ごと地中に浅く埋めて保存します。
- またはビニールハウスの中に置いて表面が乾いたら潅水します。
- 掘出し時には種芋の表皮に傷を付けないよう注意します。
「一本種」の場合
一本種はムカゴから1年育てた種芋です。細長いので乾燥と衝撃に注意します。
- 種芋が到着したらできるだけ速やかに定植します。1週間程度であればそのまま涼しい場所に置いて保存できます。
- 定植までそれ以上日数がある場合は10℃以下の保冷庫に入れます。保冷庫が無い場合の保管方法は切種芋と同じです。
「ムカゴ」の場合
ムカゴは自然薯の種(正確には脇芽が肥大したもの)です。
- 到着後速やかに種蒔きします。
- 種蒔きまで日数がある場合は10℃以下の保冷庫で保管します。
自然薯栽培セットの使用方法
栽培セット以外に用意すると良いもの
- ホームセンターで手に入る川砂、または真砂土25L(38kg相当)(=1セット種芋10個分)。または山土など身の周りで入手できる無菌に近い土でもOKです。
- 目印棒(割箸5膳を割って10本の棒にするのが簡単便利です)
- きゅうりなどつる性野菜栽培用のネット(1.8m×4m程度)
- ネットを張る支柱。これは発芽までに用意すればOKです。
- 収穫翌年以降は当農園の種芋J-2(栽培セットと同じ切種芋)またはJ-1(一本種)を10個+上記4資材を再度用意することで簡単に栽培更新ができます。
栽培でご不明な点はお気軽にご連絡ください。
といベッドの作成
- 軍手をし、塩化ビニール製の薄板を「雨とい」のように丸め、紙テープで留めて形成します。
当農園のといベッドは梱包をコンパクトに抑えるため巻いてあります。形成時に巻き戻る場合は、一度反対に巻いてクセをつけ、シートのタテ中央に折り目をつけると形成しやすいです。 - といの端は芋の活着点になるので(②畑の準備の図参照)、長さをやや広めにとってテープを貼ります。
畑の準備
- 土づくり:植え場所の土に堆肥と少量の石灰を混ぜ込み40cmほど深耕します。水はけが悪い場合は赤玉土も入れます。もみ殻など繊維質の有機材も毎年すき込むと、ふかふかの良い土になります。
- 畝の形成:畝幅60cm、高さ10cm、1セット=種芋10個で畝長は4mが目安です。
- 畝の片側の芋を植える列に深さ40cmの溝を掘ります。といベッドを傾斜角20~30度、頭を少しだけ土の上に出して配置し、といの中は真砂土や川砂などできるだけ無菌でサラリとした土で満たします。
以降、植え溝の列に沿い25cmづつ位置をずらせて、間を畑の土で埋めながらといを埋め並べます。(下段の種芋の植付の図をご参照ください)
芋はといの外側にひげ根を伸ばして養分を吸い、無菌の土の中を生育して伸びていきます。
種芋の植付
植付時期は、その土地で桜が散って葉桜になる頃~5月上旬までが目安。種芋の取扱い時は必ず軍手をして、傷を付けないよう注意します。
- といベッドの上端から5cmほど下った位置(の向こう側の土)に目印棒(割箸等)を立て、といベッド全体を5cm程度覆土します。目印棒より少しだけ下った位置(のといの真上)に種芋を横に寝かせて置き、また5cm程度覆土し、手で軽く鎮圧します。芋のどの部分から発根してもといの上に根が降りる位置に置くのがコツです。(下図参照)
- 土づくりして日が浅く、畑の水はけが心配な場合は芋を植えた列の隣に深溝を掘り、排水を助けてあげます。芋の過湿、腐敗をある程度物理的に予防できます。
- 畝の両端から△の字で挟むように2mほどの高さの支柱を立て、きゅうり用のネットを張ります。ここにつるがからんで伸びていきます。アーチ型でなく、中央1列の支柱配置、ネット張りでもOKです(プロ農家は支柱の両端に植えるため、この形です)。
種芋を植えたもう片側の列に、せん虫を軽減するマリーゴールドを植えるのもおススメです。
その後のお手入れ
植付後は表土が乾いたら潅水しますが、春は雨も多く基本は降雨に任せます。切種芋は土の水はけが悪く、過湿になると腐敗します。
気温が安定していれば、植え付け後約40日が発芽の目安です。
7月頃に株の30cmほど横に鶏糞など有機肥料、または野菜用化成肥料を追肥します。夏場は週1回程度の潅水と除草を行います。
収穫は11月下旬以降です。慎重に掘りあげ、とろろや煮物など旬の味覚を楽しみましょう!
といベッドは掘りあげて洗って重ね、直射日光を避けて保存すれば何年も繰り返し使用できます。
家庭菜園での収穫例
自然薯の栽培方法(汎用)
当農園のとい、切種芋を使用する場合
準備、栽培方法は前述のセット使用の場合と同じです。そちらをご参照ください。
一本種を使用する場合
準備、栽培方法とも基本、前述のセット使用の場合と同じです。種芋の植え方(置き方)だけポイントがあります。
一本種は発芽点(種芋の細い方の頭)を芋の活着点(といの端から5cmほど下った位置)に置いて全体を埋めますが、芋全体をといの溝の中に入れる必要はありません。芋の体がといから外れてもOKです。
今の芋は発芽後に一度溶け、発芽点の下に再度生育、形成、生長していきます。前述の植え方、育ち方の図をご参考ください。
プロ農家の畝(ご参考)
- 堆肥をすき込んだふっくら大きな畝。
- 植付後、畝に銀マルチを敷き中央を割く。
- 株間に防草シート。金属製のしっかりとした支柱。
- スベリヒユなど邪魔にならない草丈の雑草をあえて抜かずに地表の乾燥を防止。
むかご(種)からの自然薯の育て方
種の取扱い
- むかごは到着後速やかに種蒔きします。種蒔きまで日数がある場合は10℃以下の保冷庫で保管します。
- 緩衝材、保湿の役目をするおが屑にまぶしてありますので、ざる等で濾してください。
種まきの方法
- 種まき時期は3月~5月。畑に堆肥と赤玉土を入れ、深め(40cmくらい)によく耕します。
- 耕した場所の中央に1.5mほどの長さの支柱を直線に1m間隔に並べて立て、きゅうり用のネットを張ります。
- ネットの足元に沿って深さ5cm程度の溝を掘り、むかごを3cm間隔で並べて3cm程度、ごく軽く覆土します。
- 以降は表土が乾いたら潅水し、適度に除草しながら見守ります。発芽まで40日程度です。
以降のお手入れ
表土が乾いたら潅水し、7月に株元に鶏糞など有機肥料、または野菜用化成肥料を少量追肥します。夏季は葉がよく茂ります。
秋には地上部が枯れ、地中ではこの間芋が育っています。翌年また自然発芽するので、出荷用でなくご趣味で育てるのであれば、このまま2~3年育て、芋の掘り出し作業を含めお楽しみください。
本格的な栽培のための「1年種芋」として育てる場合
- ホームセンター等で手に入る塩ビシートに溝の入った「波板」(幅40~60cm)を用意します。これを地中に角度20~30°の傾斜で埋め、川砂、または真砂土を敷きます(畝長10mで約200kg必要です)。
- シートの上端から5cmほどの位置にむかごを植えるので、この直下、根を伸ばす位置に保水の為の赤玉土を少々敷き、シート全体を5cm程度の厚さで、畑の土で覆います。
むかごとシートが近すぎる(シートの上の土かけが薄い)と生育が抑制されるので注意します。 - 軽くむかごの植え溝を掘り、3cm間隔くらいで丁寧に並べていきます。むかごが動かないよう丁寧にまた5cm程度覆土します。
- 畝の南側に高さ1.5~2mのネットを張り、風で倒れないよう支柱を支えてます。
発芽前に草マルチを敷いておくと雑草抑制、地温を上げる効果があります。
これで畝は完成。以降のお世話は前段解説と同じです。 - むかごは40日程度で発芽。シートの溝に沿って芋が育ち、1年後の移植時に芋をこの板ごと楽に掘り出せます。
以降、1年種芋(一本種)からの栽培方法は上段の自然薯の栽培方法(汎用)をご参考ください。
培養土を自作してみよう
市販の培養土を使用するのが簡単便利ではありますが、それらはおよそ化学肥料が含まれています。
- 表は素材と配合比率、500mlの手桶20杯で10Lの用土を作成する場合の想定杯数です。
- 最終的に育てる場所(地植え、プランター、鉢)の用土を作る場合、更に完熟堆肥を加えます。
- 短期間のポット育苗の用土を作る場合は堆肥は加えず、ごく少量の石灰、または草木灰を加えます。
- 培養土の配合比率は必ずしも正解は無く、お客様ごとご栽培環境に合わせてアレンジしてみてください。
下記は有機栽培、自然栽培など化学肥料を使用せず植物を育てる場合の培養土の自作レシピです。
素材 | 比率 | 手桶杯数 |
---|---|---|
赤玉土(小粒) | 3 | 7 |
ピートモス | 3 | 7 |
バーミキュライト | 2 | 4 |
パーライト | 0.5 | 0.5 |
黒土 | 1.5 | 1.5 |
計 | 10 | 10 |
根張りを良くする土づくり
ポイント
植物は葉や茎など地上部の大きさとほぼ同じくらい地下に根を張っているものです。
この地下の「根張り」を良くすることではじめて、地上部が元気に茂ることができます。
Q:根張りをよくする土づくりとは?
- 物理的に団粒(土の粒)を整える
- カリウム分の含有量を増やす
基本はこの2つです。
土づくりに役立つ自然素材
草木灰やもみ殻くん炭(籾殻燻炭)を土にすき込むことで、土に有機物とカリウム分の両方をバランス良く与えることができます。
草やもみ殻に燃え残る有機物は地中の微生物を増やし、土の粒「団粒」の状態を良いものへと変えてくれます。いわゆる、ふかふかで肥えた土です。
また、植物の欲する3大栄養素(チッソ、リン酸、カリウム)の3つ目、カリウム分は主に根に効く栄養素で、根張りを助けるとともに、株元のカビなど土壌病害の予防にも役立ってくれます。これは燃えた灰が含んでいるものです。
有機栽培、自然栽培など化学肥料を使用せず植物や野菜を育てる場合には、特に「草木灰」「もみ殻くん炭」の活用が簡単、便利です。
草木灰の作り方
お庭や畑で出る、除草した草。育てた野菜や草花の残渣。これらを活かして簡単に土づくりができます。
ただ、火を使う仕事なので、安全確保はあくまで自己責任でお願い致します。
作成の前に
- 天気予報をよく見て、風のない日を選びます。
- 万一火の付いた草が風で飛んでも延焼しないよう、周囲に可燃物が無いことを確認します。周囲の片付け、事前の散水など万全にご準備ください。
作業手順
- 畑やお庭に深さ30cm程度の穴を掘ります。
- 着火用の紙などを底に。その上に雑草や野菜の残渣をのせ、着火します。
- 草は一度にたくさん載せず、燃え進みをみて上から追加投入します。
- ゆっくりじっくり燃やし、出来た灰が草木灰です。
- 使い方は下段のもみ殻くん炭と同じく、植物を育てる場所の土にすき込みます。
もみ殻くん炭の作り方
もみ殻くん炭は農家自作のものが田舎の道の駅に置いてあったり、少々お値段はしますがホームセンターや通販でも買うことができます。
米農家からもみ殻を入手できる。くん炭を作成する場所(畑、広いお庭)がある。という方はご自身で作成することもできます。
安価に、片手間に、大量に、この素晴らしい素材を使うことができるのは大きな魅力です。
火を使う仕事なので、安全確保はあくまで自己責任でお願い致します。
作成の前に
- くん炭作成はもみ殻2袋投入で12~20時間かかりますので、作成から翌日までの天気予報に注意します。強風、降雨予報があるタイミングは避けます。
- 万一火の付いたもみ殻が飛散した場合でも延焼しないよう、周囲に可燃物が無いことを確認します。周囲の片付け、事前の散水など万全にご準備ください。
作業手順
- ブロックなどで囲いを作り、風でもみ殻が飛散しないようにする。ドラム缶を切って作る方も多いです。
- スムーズに作業が進むよう、全ての素材を近くに準備しておきます。
用意するもの(くん炭器、新聞紙、ダンボール、木の枝)
枝はくん炭器の煙突の穴から投入できるよう、切って大きさを整えておきます。 - 新聞紙を丸め、ダンボールを割いて積んで小さい山を作り、着火。くん炭器を被せる。
- 煙突の穴から素早く木の枝を投入する(やけどに十分注意)
- くん炭器を包むように、上からドサーっともみ殻をかぶせる。正面から見て三角形の山になる感じです。
- 火の具合をみながらそのまま放置。翌日には完成しています。余裕がある方は火が燃えている間、もみ殻を混ぜてあげてください。火の通りが均等な良いくん炭ができます。
- 畑に溝を掘り、出来たくん炭をバケツ等で運び、投入、埋め戻し。後日管理機などで耕耘してあげると、くん炭を広く土に混ぜ込み、なじませることができます。