綿花の
栽培方法

綿花を育てよう

植え場所の準備

畑、花壇の土づくり

土が固い場合はもみ殻、腐葉土など有機資材。排水が良くない場合は赤玉土、鹿沼土などをすき込みます。土づくりを毎年続けていけば連作も可能です。

自然栽培では雑木林の隣など自然に腐葉土が堆積している、陽当たりの良い場所であれば手を加える必要がありません。

酸度調整

pH7前後、アルカリ性の土壌を好むので、種蒔きの2週間前に植え場所の土に石灰をすき込み、酸度を中和しておきます。
自然栽培の場合は草木灰が良いです。

元肥

やせている畑地ならば鶏糞(窒素系肥料)、前作で肥料が効いている場合には完熟牛糞堆肥程度が良いです。
もちろん無肥料でも育つので、自然栽培の場合はそうします。

肥料の効き過ぎた場所では枝ばかり伸びて蕾(つぼみ)が落ちたりするほか、病害虫の発生も増えます。

元肥 種まき

鉢、プランターの選び方、用土

綿花は樹高が小さめの和綿でも80cmを超えるため、基本は地植えがおすすめです。

  • 鉢植えにする場合、和綿なら素焼鉢8号(直径24cm)以上のサイズ、洋綿なら10号(同30cm)以上のできるだけ大きな鉢を選びます。
  • 用土は酸度調整されている市販の「花用の土」が簡単便利です。

種蒔きの方法

時期

関東で5月2週目の「母の日」以降が目安ですが、近年気温の上昇が早いので、遅霜の心配がなくなればもう蒔けます。

種蒔きの準備

  1. 水をはったたらいの中で優しく種をもみ、そのまま30分ほどおいて種周りの綿毛をよく浸水させます。
    種蒔きの準備
  2. そのまま以下の①~④の方法で種まきします。いずれも1か所、1鉢に2、3粒づつ播き、1~2cm程土覆土、よく灌水。以降、発芽までは毎日潅水します。
  3. 発芽後間引きして、元気のいいものを1本残します。
    種蒔きの準備 種まき

蒔く方法① 地植え(直播き)

平畝で幅は40cm以上、2条植えなら80cm。株間は60~80cmが目安。

畝にマルチシート、または草マルチを敷いておくと地温を上げ生育を良くする効果と夏場の除草が楽になります。

地植え

蒔く方法② 地植え(ポット移植)

育苗ポットで発芽、育苗し移植する方法。育てる株数が多い、畑が遠い方に向きます。

ポット育苗で移植痛みを防ぐには、ポットの土ごと、崩さないようそっと移植します。事前にポットの土をよく湿らせておくとやりやすいです。

または、種まきの事前にポットの底に十字の切込みを入れておき、ポットごと畝に移植します。切込み込みから根が地中に伸びて育ちます。

ポット蒔き ポット移植
まめ知識:綿花の共生菌

綿花は発芽から双葉の時期が約1ヶ月もあり、他の植物より成長期に至るのが遅いです。この間地中では根がストリゴラクトンという物質を分泌し、土壌中に「共生菌」を育てています。
幼苗を土ごと移植することが大事なのは、この共生菌を活かすためなのです。

蒔く方法③ 鉢植え

鉢の選定、用土は「植え場所の準備」編をご参照ください。
浅蒔き、潅水など蒔き方は地植えと同じです。

蒔く方法④ プランター

株間を15cm以上は空けたいので、一般的な60cmプランター1鉢に2~3本程度まで育てられます。

用土は鉢植えと同じで「植え場所の準備」編をご参照ください。
浅蒔き、潅水など蒔き方は地植えと同じです。

収穫までのお世話

草取り

5~6月は、柔らかい双葉~背丈が低い苗の期間が続くので雑草に負けやすく、まめに除草します。

草取り

追肥

5月初めに種蒔きした場合、6月初旬には草丈15cmくらいに。生育順調であれば追肥は不要です。

追肥する場合は鶏糞(窒素:枝葉を伸ばす、6~7月)、または油粕(リン酸:花数を増やす、8~9月)を、生育具合をみながら株元に与えます。

潅水

発芽後10cmくらいの丈のまま、1ヶ月半ほど成長が乏しい期間があり、誰もが心配になりますが、この期間は地中に根を伸ばしています。潅水はやり過ぎると根腐れをおこすので表土が乾いてから。気を楽にもち見守ります。

梅雨が明け、気温がぐっと高くなり、日照量が増えると急速に枝を伸ばし成長を再開します。この7~8月の生育旺盛な時期に多目に潅水すると、後の実の収量を上げることができます。

摘芯

綿の木は生育が良いと150cmほどの丈になります。綿の収量を上げるためには、摘芯により樹高を抑え、横枝と花数を増やすのがコツです。

摘芯

7月中旬頃、草丈15cm以上のものを選んで摘芯します。摘芯は中央の「前上に伸びようとする若芽」を切ります。
しっかり効果が出る切り方をするため、「この若芽とそのすぐ下の葉」ごと切るのが良いです。摘芯後に葉が4~5枚残っているのが理想のタイミングです。

摘芯 摘芯

病害虫対応

病害としては種が地中で腐ったり、発芽後に根腐れなどで立ち枯れすることがあります。主として低温、多湿が原因です。

無農薬栽培の病虫害対策の基本はまめに様子を見ること。酢水、草木灰の葉面散布など自然農薬も有効です。詳しくは専門書をご参照ください。

綿の花
綿の花
綿の花
綿の花
綿の花

収穫

7~10月にかけて花が咲き、花の落ちた後に実(コットンボール)が付きます。その後8~12月にかけ、木の下段から順に実が弾け、中から綿が吹き出します。

  1. 晴れた日中に、良く弾け垂れ下がるようになった綿を収穫します。良く吹き出していない未熟なものは良質の繊維になりません。糸紡ぎ用には綿に付く葉茎の残渣を除きながら、なるべく綺麗に収穫します。
  2. 収穫後、天日で十分乾燥させ、その後乾燥した部屋に置くか、紙袋に入れ、湿気を避けて保存します。
収穫 収穫

自家採種

種が完熟するのを見極めて収穫します。吹きだした綿がだらりと垂れさがる頃が最適です。

越冬

綿花は本来多年草ですが、日本では屋外・地植えで越冬させることは難しいです。
鉢植え、またはプランターで栽培し、晩秋に枝を切り詰め、用土を更新し、部屋や温室の中に入れて管理すれば翌春に再発芽します。

生育が悪い時の対処法

発芽しない

【原因】
早蒔き、発芽温度不足、深蒔き
【対策】
5月中旬以降に種蒔きする。低温スタートならビニールハウス内で育苗する。地温を上げるには黒マルチの穴に蒔く(洋綿ではより重要)。
1~2cm程度に浅蒔きする。

幼苗が枯れる、食べられてしまう

【原因】
虫害、移植痛み
【対策】
発芽直後の芽を食べるかたつむり、なめくじが寄らないよう周辺をよく除草。隠れ場所を作らないよう整頓する。
ポット移植の場合、湿らせて根周りの土を崩さないよう移すか、底にあらかじめ切り込みを入れてポットごと移植する。

枝折れ

【原因】
強風
【対策】
台風に備え支柱を立てて縛る。

花期、収穫期の虫食い、病気

【原因】
虫害、葉カビ
【対策】
排水と風通しの良い場所で育てる。ヨトウムシ、カミキリムシは早目に除く。
草木灰、酢水を蒔くと、虫の寄り付きと葉の病気を抑えることができます。

培養土を自作してみよう

市販の培養土を使用するのが簡単便利ではありますが、それらはおよそ化学肥料が含まれています。

  • 表は素材と配合比率、500mlの手桶20杯で10Lの用土を作成する場合の想定杯数です。
  • 最終的に育てる場所(地植え、プランター、鉢)の用土を作る場合、更に完熟堆肥を加えます。
  • 短期間のポット育苗の用土を作る場合は堆肥は加えず、ごく少量の石灰、または草木灰を加えます。
  • 培養土の配合比率は必ずしも正解は無く、お客様ごとご栽培環境に合わせてアレンジしてみてください。
自作培養土

下記は有機栽培、自然栽培など化学肥料を使用せず植物を育てる場合の培養土の自作レシピです。

素材比率手桶杯数
赤玉土(小粒)37
ピートモス37
バーミキュライト24
パーライト0.50.5
黒土1.51.5
1010
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